立ち読みコーナー
目次
242ページ
崇愛のもふもふ〜狼皇子はウサギ王子を愛でたい!〜 7
あとがき                     239
114ページ~
 ─真っ黒な瞳の中に、吸い込まれてしまいそうだ。
 その瞳がさらに近づき、焦点がぶれる。
「─っ!っん」
 優しく、けれど力強くフレイを抱き寄せたハガルの唇が、しっとりとフレイのそれを包み込む。
「んん……っ、ん」
 すぐに小さな唇の隙間から、ハガルの濡れた舌が忍び込んできた。歯列をなぞり、上顎を優しくくすぐられると、フレイはすぐにぼうっとなってきてしまう。
 ─この前は、なんだか嵐に巻き込まれているようだった。……でも、今は違う。なぜ口と口を付けているだけで、こんなに気持ちがいいのだろう。
 フレイの小さな身体は、ハガルの胸に、すっぽりと収まってしまう。それが、ちっとも嫌ではなかった。
「はう、ん、んう」
 角度を変え、浅く、深く、飽かずにハガルはフレイの口腔を貪った。
 きゅっと舌を吸われるたびに、フレイの頭にジンと不思議な感覚が走る。
 フレイのほうからも、おどおどと甘えるようにハガルの広い背に手を回し、必死にしがみついていた。そうしないと、意識がすぐにも飛んでいってしまいそうに感じたからだ。
「あ……っあ、……あんっ!」
 ようやく唇を解放され、ハガルの舌が耳朶や首筋に這わされると、フレイの喉からこらえようもなく、甘い声が漏れてしまう。
 恥ずかしい、とうろたえている間にも、ハガルはストール状の簡易な作りの寝間着を、するりとフレイから脱がせてしまった。
「大丈夫か。嫌ではないか、フレイ」
 確認するように熱を帯びた声で尋ねられ、フレイはまともに返事をするのが恥ずかしく、ひたすらこくこくと首を縦に振る。
 よかった、と安堵と嬉しさを帯びた声で言ってから、ハガルは自分の身体の下にフレイを巻き込むようにして、シーツの上に押し倒した。
「わ、私だけでは、ずるいです」
 貴方も、と興奮に上ずった声で訴えると、ハガルはサッと自分の寝間着を取り払った。
 生まれたままの姿になってしっかりと抱き締め合うと、互いに骨や筋肉を確かめ合うかのように、手のひらを肌に滑らせる。
「重くはないか。怖くはないか。不快になったら、すぐに言ってくれ」
 夢中で鎖骨に、胸にくちづけを落としながらも、合間にハガルはこちらを気遣う声をかけてくる。
「だ、大丈夫、です。でもっ、なんだか……っあ!」
 いつの間にか固くしこった胸の突起に、ハガルの唇が触れ、フレイはビクッと身体を震わせる。
「んっ、ん……っ!」
 片方の突起を吸われ、舌と歯で刺激を加えられながら、もう片方の突起をハガルは指で弄ってきた。
「そこっ、あ……っ、はぁ、んっ」
 ぴりぴりとした、痺れるような痛みもあるのだが、そこには確かに快感が入り交じっている。
 その証拠に、フレイのものはすでに恥ずかしいほどに熱を持ち、完全に反り返ってしまっていた。
 ─薬を、飲んでいるはずなのに。
 はあはあと、フレイの呼吸は荒くなっていく。
「っん、いっ……あっ」
 胸の突起を強く弄られた後、滑らかな舌先や指の腹でそっと撫でられると、下腹部からゆっくりと快感がせり上がってきた。
 ─男である我が身が、こんなふうに感じるのは、おかしくないのだろうか。ハガルは私に触れたがるが、こんなふうにまで感じてしまったら、変なやつだと……嫌われるのではないだろうか。
 不安になってくるフレイをよそに、ハガルは胸の突起を愛撫するだけにとどまらず、空いているもう片方の手を、フレイの脇腹や腿の内側に滑らせてきた。
「あっ、んん……っ、う」
 ほんの少しでも反応したところを、ハガルは執拗に刺激してくる。
 ビクッと跳ねたその場所に軽く爪を立て、何度も肌の上を滑らせ、フレイはその都度鼻から抜けるような、甘い声を上げてしまった。
「やあ……っ、も、ああ」
「嫌なのか?やめて欲しいか」
 ハガルはようやく顔を上げ、優しい声で聞いてくる。
その形よい唇は濡れていて、じっと真っ黒な瞳に見つめられ、フレイはもう限界だと感じていた。
「ち、ちがっ……い、嫌じゃ、ない」
 ─声を抑えられないほどに気持ちがいい、と知られたらどうしよう。浅ましい、淫らなやつなのだと嗤われてしまうかもしれない。それが、私は怖い。
 嫌だというのは嘘になる。けれど素直に快感を覚えていることを、伝えることはできなかった。それでも耐え切れなくなったフレイは涙目で、ハガルに訴える。
「そうでは、なくて。わ、私は」
「わかった。もっと触れていいのだな?貴方のすべてに」
 なかなか口にできないフレイの内心を、身体の状態でハガルは察してくれたらしい。
「焦らしていたわけではない。ただ、銀輪月のことがあったから、慎重になっていた。俺は貴方に嫌われることが、なにより怖いのだからな。しかし、そうでないのなら……もう遠慮はしない」
 一瞬、ハガルの瞳に欲望の炎が見えた気がして、フレイはぶるっと身体を震わせた。次の瞬間、ハガルは身体の位置を変え、フレイをうつ伏せにさせた。
 なにをするのだろう、と思う間もなく腰を抱えられ、ハガルの手が前に回された。
「っあ、ああ!」
 大きな手のひらが、フレイの熱を持ってカチカチになった部分に触れ、根本から上へと緩急をつけて扱き始める。
 あまりの気持ちよさに、フレイははしたなくも、自ら腰を振ってしまっていた。そして間もなく。
「ああ、駄目ぇっ!も、もう……」
 ビクビクッ、と大きく身体が跳ね、フレイのものからぱたぱたとシーツに、放たれた熱が零れ落ちる。
 しかしハガルはその手を、まだ止めはしなかった。
「やあ……っ、待って、嫌ぁ……っ」
 ふっくらとした下の小さな袋にまで、ハガルは指を忍ばせてくる。
「貴方がこんなに感じてくれて、嬉しくてどうにかなってしまいそうだ。細い腰に、尻尾がぽわぽわと揺れて……なんて愛らしいんだ」
「は、恥ずかしい、から……そ、そんなに、見ないでぇ」