立ち読みコーナー
目次
258ページ
ヤクザの愛の巣に鎖で繋がれています   7
ヤクザから独占欲で縛られています    189
あとがき                254
52ページ~
「ふっ……くっ」
 髪を掴まれて頭を固定される。
 潜り込んできた舌を押し返そうとするが、搦め捕られる。
 体に力が入らなくなったオレを壁に押しつけて耳元に囁きかける。
「何も考えられなくしてやろう」
 まずいと思う間もなく、パジャマのズボンが下着ごと下げられる。膝のあたりで止まったそれはオレの動きを封じてしまう。
「やっ……」
 耳に柏木の舌が入り込む。
 痛いくらいに体を押しつけられて息が苦しい。
「比呂」
 欲を含んで濡れた声に……ぞくりとしたものが背筋を走り抜けた。
「やっ、やだっ」
 手が腰骨のラインをなぞり、下に下りていく。
「か、しわぎ……っ」
 無理やり快楽を引きずり出そうとしている動きが嫌で身を捩ると、そのままくるりと体を回された。壁に背を預けて顔を上げたところで、間近にあった柏木の視線にぶつかる。
 その目が……オレを見る目がいつもと違っていた。蕩けるように甘いものではなくて、その中にほの暗いものを含んでいるような目。
「……っ」
 息を呑んだのは、それも確かに柏木浩二だとわかってしまったからだ。
 オレの前で柏木はいつも甘い笑みを浮かべている。その奥に眠る暗い部分を決して見せようとしない。けれどそれが存在していることは確実で……。こんなときなのに、その柏木が一瞬顔を覗かせたことを嬉しいと思うなんておかしいだろうか。
 自分の抱いた感情に戸惑っていると、足に引っかかっていたズボンを下まで降ろされた。
「離れられると思うな」
 手が、オレのを掴んで……。
 その性急な動きが柏木の余裕のなさを表しているようで息が苦しい。
 先端を指で押されて、足に力が入らなくなって、柏木がぴたりと体を寄せて支える。
「濡れてきたな」
 こんな状況でも、柏木から与えられる刺激に体は素直だ。恥ずかしさに染まる顔を横に向けると、晒された首元に柏木の舌が這う。溢れてきた蜜で下からぐちゅぐちゅと音が聞こえてオレはぎゅっと目をつぶった。
 手の動きが速くなる。
 吐き出す息がその動きに合わせて短くなる。
「い……や……っ」
 あっという間に頂点に達しようかというとき、ふいに手を離された。
「……な、に?」
 カチャカチャと柏木がベルトを外す音がやけに響く。
 ファスナーが降ろされ、取り出されたそれはいつもより黒々としているように見えた。
「さっきもしたばかりだから慣らさなくても平気だろう」
 太股をゆるりと撫でた手が内側に回って持ち上げる。柏木が体を進めてきて少し体が浮いたように感じた。
 ぐ、と押しつけられた塊は確かに数時間前にも受け入れていたけど、全然違うものみたいだ。熱くて固くて少しだけ怖さを感じる。
「かっ……」
 柏木。
 呼ぼうとした名前がキスに吸い込まれて、思考があやふやになる。
 いつもならじゅうぶんに慣らされてから入ってくるそれは、無理やりのように先端が潜り込んだところで……。痛みに声を上げそうになるけれど、口の中を蹂躙する舌がそれを許してくれない。