立ち読みコーナー
目次
290ページ
誘淫オメガ ~ハニーポット・オペレーション~   7
あとがき                     282
95ページ~
「そんな物欲しそうな顔をしなくても、今夜はかわいがってやるから心配するな」
「そ、そんな顔って、……っ」
 よほど心許ない顔をしていたらしい。苦笑とともに強張りが解けた身体を引き寄せられる。肌を密着させたまま耳朶を甘噛みされ、ビクッと大きく身体が跳ねた。埋み火を掻き立てられ、あっという間に欲が再燃する。
「続けて、いいな」
 前が萎えていないのを指先で確認され、赤面しながら奥歯を噛む。こういうときは、言葉よりも身体のほうが正直で雄弁だ。後ろに回った司波の指が、再び後孔を探り当てる。竦む身体を宥めながら、指先に力がこもる。
「ンん」
 小さな濡れ音を立てて、ゆっくりと指先が押し入ってきた。生殺しの状態で放置されていたそこが悦んで指を咥え込み、奥へと引き込もうとする。この男には、自分のすべてを任せていい。一度、納得したからなのか、不思議なほど身体が素直に開いていくのがわかる。もう浅い挿入では物足りない。慣らす動きから、次第に追い上げる動きへと変わるのに、そう時間はかからなかった。
「あ……は……っ」
 元々、受け入れる機能が備わった器官であり、発情期は性玩具を自ら挿れることもある。
 それでも性急に繋がろうとしないのは、耐性剤が効いているせいか。それとも司波の経験と精神力によるものか。男の手慣れたセックスに、安心感とはまた別の感情が心の奥に湧き上がってくる。
「しかし、初物とはな……どうりでフェラも慣れないふうだと」
 瓜生の耳を舌先でざらりと舐め上げ、司波が思い出したように忍び笑いを漏らした。
「っ……下手くそで、悪かった、ですね……っ」
「憎まれ口を叩く余裕があるのなら、大丈夫だな」
 丁寧に解されたそこに、そそり立つモノをあてがわれる。その熱さにまた喉が鳴る。さっきは自分を刺し貫く凶器のように思えたそれが、いまは早く欲しくてたまらない。
「できるだけ痛くないように抱いてやる」
 自信過剰な台詞を囁き、司波がぐっと腰を入れてくる。
「あ、っあ……っ……っ、っ」
 太くて硬いモノにゆっくりと中を犯されていく感覚は、とても言葉では言い表せない。だが上から目線の宣言通り、内臓を押し上げられる苦しさはあるものの、破瓜の痛みというほどのものはない。
 ふと目を開けると、膝を掴む長い指に、とろりとした粘液が纏わりついて糸を引いていた。それが自分の愛液だと気づいた瞬間、脳が沸騰するような感覚に襲われた。忘れていた恥ずかしさがこみ上げてきて、挿入ってくる司波自身をきつく食い締めてしまう。
「瓜生」
 ようやくすべてを納め切った司波が、なにかを確認するように瓜生の顔を覗き込んだ。だが瓜生は強烈な感覚に声も出ない。
(なんだ、これ……)
 生まれて初めて他人と身体を繋いだ。司波自身が体内で脈打っているのを感じる。腰の震えが止められない。相手の身体を太股で挟み込み、不随意に締めつける。
「痛いか」
「そ、じゃな……さっき、より、大き……ぃ」
 司波がなんとも言えない表情を見せ、それからふと唇を歪ませた。目を伏せ、苦笑を含んだ口ぶりで告げる。
「やめてほしかったら、殴って正気に引き戻せ」
「……っ」
 そんなこと、できるはずがない。
 がちがちと鳴る奥歯を噛み締め、首を振る。
 深く繋がったまま、顔を近づけてきた司波が耳元で囁いた。
「本当は、耐性剤なんて、とっくに切れてる」
 瞠目する瓜生の腰を抱え上げ、司波が唇を舐める。いままさに獲物を食らわんとする狼のような獰猛な目で見下ろされ、ゾクッとした。さまよう瓜生の手がシーツを掴む。
「……う、あ……っ」
 ゆっくりと引き抜かれ、最奥まで押し込まれる。ズンとした重い衝撃に背中が撓った。一番感じる場所を擦り上げられ、目蓋の裏がチカチカする。完全に主導権を譲り渡したセックスに、ただ翻弄されるしかない。
「あっあっあっ」
 ペニスを大きな手に掴み取られ、律動と同時に扱かれる。時折、乳首を舌で舐め上げられるのもたまらない。どこに触られても気持ちよすぎて、下半身から蕩けてしまいそうだった。ずっと絶頂で留め置かれているような感覚に恍惚とする。
「っく……っ悦すぎる……っ」
 我を忘れているのは司波も同じのようだった。
 指の跡が残るほど強く腰を掴み、激しく揺さぶり上げてくる。獣じみた腰遣いに、さきほどまでの気遣いや余裕はない。一突きごとにαのフェロモンが濃くなって、どうしようもなく劣情を煽られる。気持ちいいなんてレベルじゃない。悦すぎておかしくなりそうだ。