立ち読みコーナー
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きみにビターな狂愛を~きみと二人でウチごはん~  7
あとがき                     229
66ページ~
しないのか?」
「する!」
「だよな」
 怪訝そうに訊かれて即答した途端、今度は自然な動作でソファに押し倒された。そこで、またストップをかける。
 凜々しい眉を、彼がなんなんだといったふうに片方上げた。
 それを見上げた不本意な体勢で、朱鳥が敢然と主張する。
「一連の流れがことごとく間違ってる」
「どこがだ?」
「まず、告白への返事なしでキスって、どういうことだ!?」
「そういうことだ」
「…つまり、OKの意味かよ?」
「ああ」
 すんなり首肯されて満願成就とは、まだよろこべなかった。
 組み敷かれた体勢という重大かつ最大の懸案が残っていたからだ。早急に解決しなくてはと言い添える。
「あと、これが最も重要な問題だ」
「なんだ」
「俺がシノを抱くんだ」
「おれも紀彰を抱くつもりだが」
「なんだと!?」
「おれが、おまえを抱くと言った」
「!」
 当然といった顔つきで返され、朱鳥のこめかみがひくついた。
 まさか、どちらもが抱く側希望だったなんてと頭を抱えたくなる。
 てっきり、東雲は草食系男子だから抱かれるほうを選ぶと踏んでいたのに、ここへきての番狂わせだ。
 負けられぬ戦いに勝利しなければならない大事な局面に、己へ気合いを入れる。
「悪いが、シノ。俺に抱かれてもらうぜ」
「おれの台詞だな」
「寝言は寝て言え」
「あいにく、現実だ」
 互いに譲る気なしとあり、主導権争いが勃発した。
 狭いソファの上で、力比べの小競り合いになる。しばらくあとには、格闘技めいた縺れ合いに発展していた。
 このつばぜり合いだけで、朱鳥は息が上がる。
 東雲の両肩を掴んで押し上げながら、負けん気の強さを見せる。
「シノ、上下チェンジだ」
「このままで、おれはかまわない」
「俺はおおいにかまう。替われ!」
「自力でやれ」
「ふざけるなよ」
「まじめに言ってる」
「体格で俺が不利なんだから、ハンデをよこせ」
「真剣勝負で甘えるな」
「う」
 正論に怯んだ瞬間を、彼は見逃さなかった。その隙に全体重をかけてこられて、身動きが制限される。
「重っ……て、ちょ……シノ、なにしやがるっ」
「おまえの服を脱がせてる」
「やめろ!」
「さっき、するって言っただろう」
「あれはっ……待て、おい!!」
 覆いかぶさっている身体を退けようと必死になるも、ままならなかった。
 焦るのは、東雲の手際が異様にいいことだ。純朴な草食系男子と思っていたのに、驚くほどの手練れぶりで朱鳥の衣服を脱がせていく。
 しかも、キスをしかけてきたり、股間に触れてきたりと余裕さえ窺えた。
「く…うぅ……シノ、やめ…っ」
「無理だ」