立ち読みコーナー
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266ページ
九尾狐家異類婚姻譚 ~黒い瞳の花嫁~   7
あとがき                 260
72ページ1行目~
「じゃあ、このままやろうか」
「え……っ?」
 ズボンが纏わりつき、膝をひらけないままの脚を、太腿が腹につくほど深く折り曲げられる。
 かと思うと、後ろに指がふれてきた。
「ひっ……」
 一気にあの夜のことを思い出し、炯都は震え上がった。
 アレクサンダーはそんな炯都の表情を見て、微かに笑みさえ浮かべる。襞をたどる指にはぬるりとした感触があり、いつのまに彼は塗りつける何かを用意していたのかと思う。
 必死で拒もうとしたけれども、ぬめりを帯びたそれは容赦なく炯都の中へ挿入ってきた。
「ひあ……やぁ……っ!」
 軽く中を探ると、すぐに指を増やされる。ぐちぐちという濡れた音が響き、ミミを塞ぎたくなった。
「ぬ……抜いて……っ」
「痛い?」
 こくこくと炯都は頷いた。
「それだけじゃなさそうだけどな」
「……っ」
 彼の指摘に、かっと赤くなる。炯都の身体は心とは裏腹に、痛みだけではない何かを微かに感じ取っていたのだ。
 炯都は彼を蹴って逃げようとした。が、簡単に避けられ、足首を掴まれた。
 アレクサンダーは指を抜いてくれたけれども、それで終わりなはずはなかった。苦しい体勢のまま、かわりにひどく熱く猛った彼のものが押し当てられる。彼は前回よりもどこか急いているようだった。
 またされるのかと思うと、涙が滲む。
「─……っああぁ……っ!」
 挿入され、炯都は必死で声を殺そうとしたが、できなかった。そのまま何度か小刻みに出し入れを繰り返しながら、彼は深く挿入ってきた。
「ふ……あ……っ」
 炯都は何度も首を振った。その視界に、半端にはだけた上着の襟章が見えて、堪えていた涙が零れた。
「……制服が……」
「制服が、どうかした?」
「……汚れる……」
 炯都にとっては、憧れの服だった。これを着た煌紀は、凄くかっこよかった。自分が着られる日を夢見ていた。実際に着てみたら、炯都にはあまり似合わなかったけれど。
(アレクだって……)
 見た目はこんなにも美しく制服を着こなしているのに。
「じゃあ脱がせてあげようか」