立ち読みコーナー
目次
258ページ
妲己の恋 ~中華艶色譚~    7
采葛              225
あとがき            256           
164ページ~
 湧きあがる性感に押されるように、莉星は舌を使った。硬く勃ちあがった桂英自身に絡ませ、ざらついた表面で擦る。溢れる透明な欲液を啜りながら、根もとに沿わせた自分の指を動かした。
「ん、ん……、っ、……ぅ」
 そこに、舌を這わせている桂英の欲望が突き込まれる。そう思うだけで、体の芯がぞくぞくとした。身の奥が疼く。莉星は、下半身を揺らめかせた。
「桂、英……」
 舐めあげるそれは、ますます力を増していく。伝わってくる硬さに頬を擦りつけながら舌を使うと、欲望がどくりと強さを増す。ますます欲情させられて、蜜孔に受け挿れたいと欲情が高まる。ひくひくと、蕾が震える。
「あ、……、こ、こ……」
 思わず声が洩れた瞬間、はっとする。彼と繋がってはいけない——兄を不慮の死に陥れたくはない。掠れた熱い吐息を洩らす桂英は、莉星の髪に手をやる。
「っあ、あ……、っ……」
 そっと撫でられて、また体に走るものがあった。体の芯までを震わせながら莉星は、反射的に逆らえない甘えた声を洩らす。
「れ、て……、っ……」
 嬌声は崩れて、うまく形にならなかった。桂英が、戸惑ったように聞き返す。莉星はひとつ、動物のように身を震って上体を起こした。
「挿れて……」
 自分の言葉に煽られながらそうささやき、彼の唇を奪った。そうするべきではないとわかっていて、口に出さずにはいられない。
 桂英は少し眉根を寄せ、それが自身の淫液を味わう不愉快さゆえなのかと思うと、自然に笑いが溢れ出る。
「桂英の……、挿れて……」
 耐えきれず、甘えた声でそうささやいた。彼はなおも惑っている。そんな彼の唇をより深く味わいながら、莉星はその膝を跨いだ。
 ふたりの欲望が触れ合って、その感覚にぞくぞくとするものが走る。桂英の欲望を片手で握り、ともに擦りあげ、その硬さに痺れるような快感を覚えながらなおも声をあげる。
「あ、……、ね、が……、っ、……」
 それこそが、莉星の願いだった。ほかの誰でもない、兄の桂英こそが莉星の求める相手であり、奥深くまで受け挿れ乱され、抱かれたい相手だった。
「桂、英……っ……」
 そう言ってはっとした。桂英を死に追いやりたくなどない。
 莉星は掠れた呻きとともに桂英を突き放した。
「そうだな」
 桂英は呻くようにそうささやいて、熱い息を莉星の耳に吐きかけた。
「おまえを抱いては……俺は、おまえを犯した男たちと同じ、ただのけだものになる」
 はっ、と莉星は目を見開いた。情欲だけにとらわれていた意識が、ふいに明瞭になる。
「同じにはなりたくない……、俺は、おまえの……兄、だ」