立ち読みコーナー
目次
306ページ
誘春             7
狂秋             111
いつの日か、花の下で     179
あとがき           299
92ページ~
 ここに。父が触れてくれたのだ。
 あの美しい手で、このペニスをしごいてくれたのだ。
 夢ではない。こうやってきちんと証拠が残っているではないか。
(夢じゃないんだよね)
 今観ているのは、真実の画像だよね。合成でもなんでもなく。
 いや、たとえ合成であってもかまわない。『父』がこういう画像を作り上げたのだとしたら、それだけで本望だ。
『暁くんが誰とセックスしててもね、パパは、暁くんのことだけ愛しているよ』
 甘い睦言を囁きつつ、人形のような暁に、清明は激しい抽挿を繰り返していた。
 未だかつて感じたことのないほどの強烈な快感が、暁の内部から湧き起こってきた。
 堪えられず、肛孔に指を差し込む。
「ん、あっ、んっ」
 思わず背を反らし、のけぞる。
 誰とSEXしても感じない身体が、録画を観ているだけなのに燃えるようだ。
(こんなに、こんなに、感じるなんて)
 くちゅくちゅと指を出し入れする。
 暁は陶然と思った。
 ぼくの、この恥ずかしい穴に。父のペニスが入ったのだ。
 ほかの男などで満足できるわけがないではないか。自分はこれほど濃密な愛撫を施されて育ったのだから。
 父は近親相姦という恐ろしい罪を犯しているにもかかわらず、清らかに見えた。それどころか、暁が見たこともないほど、神々しく、美しかった。
『さあ暁くん。一年分、愛し合おうね。もっともっと、抱いてあげる』
 
遠くのほうで、物音がした。
 画面上の声に重なるように、父の声がした。
「暁くーん、ただいまー」
 聞こえてはいたが、動く気はなかった。
 動く必要などどこにもないではないか。今日は自分の誕生日なのだ。
「暁くん、どこだい」
 声は各部屋を回っている。
 回って、そして徐々に焦りの声色になる。
「暁くんっ、あきらくんっ。どこにいるのっ」
 唇の端が上がる。