立ち読みコーナー
目次
282ページ
ちゃんとわかってる        ……7
やっぱりわかってる        ……253
あとがき             ……275
「あっ…。…ん…っ……大滝、窓…」
 洗い場には小窓があるのだが、普段は換気のために開けているそれが閉まっているか、大滝に確認するよう指示する。嬌声というのは響きやすい。しかも、男の声だ。できるだけ抑えるけれど、どうしても漏れてしまう声を気遣う井川の顔に、大滝は口づけながら「大丈夫だ」と答える。
「ん…っ……ふ…っ…」
 ぬるついた手が前だけでなく、後ろも弄ってくるのに耐えられなくて、井川は大滝の身体にしがみついた。大滝は井川よりも二十センチ近く背が高く、日々の仕事で鍛えられた肉体は強靱なものだ。ジム通いでつけた俄仕立ての筋肉とはわけが違う。
 引き締まった身体に抱きつき、キスをねだって、愛撫される高揚感に酔いしれる。後ろの敏感な部分を指先で弄られるだけで腰が揺れ、淫猥な仕草を見せてしまうのを止められなかった。
「…あ…っ……や…っ…」
 井川をシャワーの下へ立たせ、大滝はその前に跪く。泡を流しながら足先まで洗ってしまうと、反り返っている井川自身を口に含んだ。びくりと震える身体をしっかり抱き留め、唇や舌を使って丹念に愛撫する。
 大滝の愛撫には慣れているが、立ったままそれを受けるのは慣れでは追いつけない部分がある。昂ぶっていくほどに脚が震えてきて、次第にしんどくなってくる。大滝の口に含まれている自分自身が、どれだけ浅ましい状態であるのかが視界に入ってしまうのも、煽られる要因だった。
「ん…っ……あ……おお…たき、…っ…」
 声の響きだけで井川が何を求めているのか察した大滝は、抱きすくめていた身体を浴槽の縁へ座らせた。それから再び井川自身を口で愛撫する。奥までのみ込むようにして含み、口腔や舌を使って行われる巧みな口淫に、井川のものは張り詰めていく。
 限界が近づくと、井川は大滝の髪を掴んだ。短く刈られている大滝の髪は掴めるほどもなく、頭を押さえるような形になってしまう。やめて欲しいのか、もっと強く刺激が欲しいのか。
 自分でも判断がつかず、苦しさと快楽が混じり合う瞬間。大滝の唇に先端を吸われた刺激で、井川は欲望を吐き出していた。
「あっ……」
 短くも甘い声が水音の中に響く。温かい液を溢れさせる井川自身から、大滝は口を離さずに愛撫を続ける。それが辛くて、井川は頭に添えた手に力をこめた。
「…大滝……」