立ち読みコーナー
目次
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トリプルルーム   ……7
あとがき      ……222
「あっ……あっ……いい……っ……」
 伊織の膝の上で夢中になって腰を揺らし、斜めに反り返った肉棒が卑猥に濡れて、自分の中に出たり挿ったりする場面をこの目で見た。
「痛めつけることはしないけど、……ちょっとだけ苛めてみたいって思うんです。向井さんはほんとうにいけないひとだな。僕をこんなにおかしくさせるなんて」
 クリップごと口に含んで乳首を舐ってくる伊織の頭をかき抱き、向井は極みに達した。
 すぐに伊織もあとを追ってきて、生温かい感触を向井の最奥に植えつける。
 どくっと身体が脈打つたび、伊織の熱い飛沫が深奥に放たれているのがわかるが、ゴムをつけていることで中がぐっしょりと濡れるあの卑猥な感覚は、ない。
 同性だろうと異性だろうと身体を思いやってくれる伊織の気持ちは嬉しい。しかし、なにかが物足りない。
 ――こんなに深く貫かれているのに、物足りないなんて、俺はどうしたんだ? とうとうおかしくなったのか?
「……まだ、ひくついてますね。もう一度したい」
 見上げてくる伊織にぼんやり頷く。
 どう頼んだら、あのいやらしい感覚を与えてくれるのだろう。
 なにか言おうとして、不意に気配を感じた向井は振り向き、絶句した。
「――なにしている?」
 寝室の戸口に宮乃が立っていた。
 なぜ、勝手に部屋に入ってこられたのかと深く考えなくても、答えは簡単だ。どうやら向井の知らないうちに、合い鍵を作っていたらしい。ここは古めのマンションだから玄関はオートロックではないし、錠前も古いタイプだ。その手の店にマスターキーを持っていけば数分で合い鍵が作れる。
「宮乃さんか……」
 不敵に笑う伊織に腰を掴まれていたから逃げることもできずにいると、大股ぎみに近づいてきた宮乃に顎を掴まれた。
 ぎらりと怒りで沸騰する目に、――殴られるのかと一瞬身を竦めた。
 まだ伊織が挿っている場所を食い入るように見つめた宮乃が、掠れた声を絞り出す。
「そいつと俺と、どっちが気持ちいいんだ?」
「ミヤ……」
 こんな場でなにを聞いているのかと宮乃の正気を疑っても、もう遅い。
「昨晩俺があんなにしてやったのに、おまえはもうべつの男で満足するのか?」
「ち、が、……」
 カッと頭の中が熱くなる。
「――違う、違う!昨日はおまえが薬を盛ったんだろう!何度もやめろって言っても聞かなかったじゃないか!」
「でも、そのたび向井は射精しただろう? 胸を弄られるたびによがっていたじゃないか」
 伊織から引き剥がすように向井の腕を取る宮乃が、忙しなく胸をまさぐってくる。クリップで挟まれた乳首をきつく揉まれると、心臓が駆け出す。
「ミヤ……、そこ、やめっ……」
「薬、か……宮乃さんも結構ひどい手を使いますね」
「おまえになにがわかる。向井から離れろ。こいつは俺だけのものだ」
「向井さんが承諾しましたか?」
 ぐっと言葉に詰まる宮乃が、顔を近づけてくる。
「……向井、俺が嫌か? 伊織のほうがいいのか?」
「んん……っう……」
 身体に刺さったままの伊織が再び硬くなっている。
 ゴムの中に残った精液でぬるついていて違和感がする。そのことに顔をしかめたのだが、感じていると宮乃は勘違いしたらしい。
 向井を突き倒し、宮乃が濡れたままの性器を扱いてきた。
「……っ、おまえら、なに考えてるんだ……っ……!」
 ふたりがかりで犯される事実に驚愕し、めちゃくちゃに暴れたのだが、宮乃の片手で難なく押さえつけられた。
「伊織にここ、触らせたのか。舐めさせたのか、向井?」
 つらそうな顔の宮乃になにか言おうとしても、顎を強く押し上げられているせいで、息が苦しい。
 その隙に伊織は素早く一度抜き、新しいゴムに替えて再び向井の中へと侵入してきた。さっきより、硬くしなっている。
「あぁ……っ」
「誰がやっていいと言った?」
 向井を犯す伊織に宮乃が険しい声を上げる。
 髪をかき上げた伊織は舌なめずりし、「誰が?」と皮肉っぽく笑う。
「僕は、このひとを愛したい。そのこころに素直に従っているだけですよ。……ねえ、向井さん。僕を感じているでしょう?」
「……くそ、おまえ」
「伊織……っ、あ、ぁ、ミヤ、……手、そんな、したら……っ……」