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白蜜花嫁 ……7
あとがき ……207
「だ、め……、だめ、こんな…の…っ」
弱音じみた言葉が出た。もう下着も袴もとっくに下までずり下げられている。昭貴の手が股間で動くたびに、くちゅくちゅと卑猥な音が響いていた。なんでだ。自分はこんなにはしたない質だったか。まさかこの、異様なシチュエーションに興奮しているのだろうか。
「可愛いな、朔」
「んぅ……っ」
股間を弄られながらもう一度口を塞がれ、また口腔を犯された。背中から腰にかけてがひくひくと震えてしまう。
(あたま、まっしろになる)
なんで。こんなことされてるのに。
朔は自分の肉体の反応が自分でもわからなかった。まるでずっと昔からこうされるのを待っていたかのように身体が反応する。
「びくびくしてきた――。もうイくか?」
舌を絡ませる合間の、昭貴の淫らな囁き。背中までが勝手にわななく。
「や、だっ…、イきたく、なんか…っ」
その抵抗がもう口だけのものだということは朔にもわかっていた。快楽の波が、限界近くまでこみ上げてきている。昭貴の指は巧みで、先端の溝の部分をくすぐるように刺激されると、わけがわからなくなりそうになる。
「ん、ふ、う、……っう!」
とある瞬間に、下半身ががくん、と揺れた。どうにか抑えつけてきた愉悦が、殻を破って弾けようとしている。もう止められない。
(でもこれが大事な儀式ならば、感じてなんかいられない)
そう思い留まり、朔はなんとか踏み留まろうとした。理性の力ぎりぎりでもって絶頂を堪える。
けれど朔の若い肉体は、与えられる快楽にはひどく弱かった。
きつく噛み締めた唇が解け、淫らな声が出てしまう。
「あ、い――っ、く、ぅうんんん…っ!」
昭貴の手の中に朔の白蜜が迸り出た。その瞬間の、身体の芯が引き抜かれそうな快感に、朔は啜り泣きめいた嬌声を上げる。
「…ぁ、あ…っ」
「……いっぱい出たな」
掌を濡らすそれを、昭貴はぺろりと舐めてみせた。何か言い返してやりたいが、無理やり絶頂まで追い上げられてしまった朔は、彼を睨み返すことだけで精一杯だ。
「もっ…、離せよ」
皆川の祝詞はまだ続いている。この祈祷はいったいいつまで続くのだろう。頭の芯がくらくらして、身体の震えが止まらない。だが昭貴は、さらなる残酷な宣言を朔に与えた。
「何言ってるんだ。これからが本番だ」