立ち読みコーナー
目次
277ページ
プラトニックな愛撫
ファンタスティックな愛撫
エロティックな純愛
 あとがき
 本山の舌が譲の唇をこじ開け、口(こう)腔(こう)内をまさぐる。重なった唇がこころなしか塩辛い。きつく舌先を吸われ、目眩(めまい)がした。
 一瞬だけ身体が強(こわ)ばる。譲は相手を押しのけようと本山の胸と自分の身体とのあいだに手のひらを差し入れる。
 本山が、制止するように、譲のその手を柔らかく握りしめた。
 くちづけていた唇を離し、
「震えてる。なんで?」
 ささやいて小さく笑う。
 それではじめて譲は、自分が震えていることに気づいた。
「いまさら隠すことないしさ。楽しもうぜ? 透けたシャツ着た男をあんな目で見る奴はゲイだ。真っ正面から見返したら後ろめたい顔して目をそらしたところで確定。だろ?」
 バレていたのか。うすうすそうだと思っていたことなのに、わかってついてきたというのに、指摘されて足もとにあった地面が消失していくような心地になった。
 いままで安全だと信じて隠れていた場所から無理に引きずり出されるような、恐怖を覚える。
 嵐のようなものに引きずり込まれたいと願っていたはずなのに、実際にこうして抱きしめられて、キスをされた途端におじけづいている。
 本山は譲の顔をじっと見つめ、ふいに笑った。

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