立ち読みコーナー
目次
242ページ
オオカミパパに溺愛されています   7
お誕生日はにゃんにゃんパラダイス  219
あとがき              237
120ページ15行目~
 大神は千明に近づくと、耳もとに口を寄せた。
 体温までわかりそうな距離にどきんとした。
「またおまえの発情が始まるといけないだろう?子どもたちは夕食を済ませたら今夜は早く部屋に行かせる」
 囁かれた内容に、鼓動が大きく跳ねる。
「そ……っ、そんなのならないかもしれないじゃないですか……!」
「だから、念のためだ。箱の中身はベッドの側に置いておけ」
 大神が子どもたちを伴ってバスルームに消えると、どきどきしながら箱を持って自室に向かった。
 段ボールを開け、中身を取り出そうとして─。
「なっ……!」
 真っ赤になって、慌てて一度箱を閉じた。
 箱の中に入っていたのは、凶悪に黒光りする箱に入ったコンドームだったのだ。
(しかもXLサイズ……)
 ちょっと、動揺で胸が痛い。
 おそるおそるもう一度段ボールを開けてみると、緩衝剤の真ん中に鎮座するコンドームの箱の片隅には、ご丁寧に〝ハイブリッドアルファ専用〟と書かれている。
「おれに開けさせるとか、セクハラじゃない……?」
 思わず呟いた。
 でもこれは大神の気遣いなのだろう。昨夜は突然だったから生でヤリまくってしまったけれど、発情期は妊娠しやすいのだ。
「や、でも、するって決まったわけじゃないし……」
 言いながら、これを使うことを想像して頭が熱くなってしまう。
(あ、まずい)
 かすかに下腹に熱が集まってきたのがわかる。発情の前兆だ。
 今までなら、アルファの側から逃げて部屋に閉じこもってしまえばよかった。自分で処理をして、疲れたら眠ってしまえばよかった。
 でも昨夜みたいな暴力的な発情に支配されてしまったら、自分でなんとかできる自信がない。
(ゴーヤ、買ってこなかったし……)
 買ってきたとしても、到底自分で使える気はしないが。
 男を求めて誘惑香を垂れ流しながら町をさまようことになるくらいなら、大神に宥めてもらった方が何倍もマシだ。
 でも客とそういうことをするのは、やっぱり気が咎める。
 真っ赤になりながら取り出したコンドームの箱をヘッドボードに置きながら、悶々と悩む。
「あ、オオカミさんにゴーヤ使ってもらったらいいんじゃ?」
 一瞬名案のように思えたが、大神が千明の尻にゴーヤを突っ込んでいる図を思い浮かべて撃沈した。
「おれのバカ……!」
 誰もいないのに顔を隠して枕に突っ伏し、今夜のことを想像した。
 きっと発情はやってくるだろうと、本能的にわかる。
 こんな自分はだらしがなくて大嫌いで、逃げてしまえたらと思うのに、逃げる先がない。ままならない自分の体は怖いし未来も不安でたまらないけれど、大神がいてくれると思うだけでほんの少し安心する。
「オオカミさん……」