立ち読みコーナー
目次
274ページ
電気執事は恋の夢を見るか   7
あとがき           268
196ページ~
「晶さん?」
三刀谷が低く晶を呼び、晶はびくりとして三刀谷の顔を見た。
その顔に、見たことのないような表情が浮かんでいる。
意味ありげな笑み、かすかな困惑、
ごくりと自分が唾を呑む音が、やけに大きく部屋中に響き渡ったような気がして、恥ずかしくてたまらない。
「こんな……こんなだと思わなくて……」
「ではどう思っていたのですか?私の身体について、どんな想像をしていたのですか?」
答えられずにいると、三刀谷がゆっくりと晶に歩み寄ってきた。
「あなたは……私が想像していた通りだ」
はっと気がつくと、手で前を押さえていただけのバスローブがはだけ、晶も三刀谷の前に、自分をさらしてしまっている。下着すらつけずに。
三刀谷の視線がちらりと下を見たのにつられて、晶も自分の身体に視線を落とし、自分の性器が軽く頭をもたげてしまっているのに気づいてぎょっとした。
「あ……」
慌ててバスローブの前を合わせようとした手は、やんわり三刀谷に握られて止められてしまう。
「これは、私を見たからですか?」
視線が甘い。声音も。口調も。
すべてが晶の、冷えていたはずの身体を芯からかっと熱くさせる。
「僕、どうして……ごめんなさい、あのっ」
「なぜ謝るのです、私も同じなのに」
晶は思わず三刀谷のそこを見た。
濡れた下着越しに、三刀谷のそれも大きく体積を増しているのがわかる。
こんなに……こんなにちゃんと、人間と変わらず作ってあるのなら……その理由も……?
「不思議だ。私はあなたをどうしたいのだろう……?」
三刀谷がじっと晶の顔を見つめた。
「こんな感情ははじめてだ。自分でも理解できない。しかし……あなたを特別に守りたいと思い、抱き締めたいと思い、私だけを見ていてほしくなる」
そう言って、優しく目を細める。
「この感情に名前をつけるとしたら……これこそが『いとおしい』というものなのかもしれないと、思うのです」
晶の胸がきゅんと甘く痛んだ。
いとおしい。
そんな感情を、三刀谷は持つことができる。
そして晶はそれが嬉しい。三刀谷が晶を守りたい、抱き締めたい、三刀谷だけを見てほしいと思っていて……晶もそうしたい、そうされたい。
晶だって、こんな感情ははじめてなのだ。
互いに、相手に対してはじめて、同じ感情をいだいているのだとしたら。
人と人が想い合うのと、どう違うのだろう?
三刀谷が好きだ。
あらためて自覚するのと同時に、晶は自分の中から湧き上がってきた衝動に戸惑った。
三刀谷に触れたい。
その肌の感触を知りたい。体温を知りたい。
三刀谷の身体を……隅々まで知りたい、という。
「三刀谷さ……」
何を言おうとしたのか自分でもよくわからず、その声が甘く掠れている。
「あなたに呼ばれることが嬉しい。そして、あなたがそんなふうに、潤んだ瞳で私を見つめることが……私に、こうさせたいと」
三刀谷の声が低くなり、ゆっくりと顔が近づき……唇が、唇に触れた。
その瞬間、晶の身体が熱く蕩けたように感じた。