立ち読みコーナー
目次
226ページ
不器用なトライアド     7
ニュートライアングル    159
あとがき          216
57ページ~
ジェルでぬめった指をなかに入れると、忍は眉間に皺を寄せ、腰を捻った。
達巳はというと、怯える忍を宥めるように、髪を手で梳きながら、もう片方の手で頬を撫でていた。その手の優しさに縋るかのように、忍の視線が弘哉から達巳へと移った。そのことに微かに苛つく。
達巳もこんな状況で今さらなに優しく撫でたりしてんだ。そういうのはこっちでするから、いらないんだけど。
手早くボトムを膝まで下ろし、弘哉はすでに昂ぶっている自身を忍のなかに押し込んだ。
「うあっ!いった、ぃ……!」
「えっ、もう?平気か?」
達巳が驚いたように振り返った。
「なにが?ジェルで濡らしたぞ」
「……いや」
挿入時に忍が痛がるのはいつものことだし、突いていればその内身体も慣れてくる。男との交わりなんてそんなもんだ。どうしたんだろうと訝しみながら、腰を突き入れた。
「あっ、あっ、ひ、あッ」
奥までみっちりと嵌め込んで揺さぶると、忍の口から女のような喘ぎ声が洩れた。
3Pというアブノーマルなプレイにもっと拒否反応を示すかと思っていたのに、抵抗らしい抵抗もなく、いざ挿入すると、忍はいつものように喘ぎ始める。
忍にとって弘哉の要求は愛する男からの求めだからなのか、それともまっさらだった身体を拓き、淫らに開花させた成果か。いずれにしても原因は自分だと思うと気分がよかった。
「んん……んっ」
達巳が喘ぎ声を塞ぐように、忍に口づけた。
男同士でわざわざキスをするなんて変わった奴だ。
「うおっ、締まるぜ、忍」
達巳のキスと同時に、忍のなかがキュッと締まった。
「もっとキスしろ、達巳。呼吸苦しいからかな。なかがきつくなる」
二人に責められ、連動する忍の反応が楽しい。達巳にキスされながら、弘哉に尻を貫かれている。細くて白い身体に、二人の大男が群がっている。いつもよりきついのもあるが、視覚的にもものすごく煽られた。
達巳が唇を離し、ボトムをずり下げた。弘哉のよりもやや大きな性器が露わになる。
ぎょっとする弘哉の前で、達巳が忍の顔の前に、屹立を突き出した。
「忍、俺のも、して?」
懇願なのか、それとも命令なのかわからない達巳の甘い囁き。その艶めいた響きに、弘哉までゾクッとした。
「ねえ、して?忍。俺の」
忍の眸に躊躇いが見える。
当たり前だ。弘哉だってまだ忍の口は使っていない。しかも好きな男の前だ。無理に決まってる。
弘哉の目の前で、忍の口が、スローモーションのようにゆっくりと開いた。
「忍」
思わず呼び止めてしまった。しかし達巳はそのまま押しつけるように忍の口へと屹立を入れてしまう。忍の小さくて、真っ赤な口のなかに。
忍が目をぎゅっと閉じて、苦しそうに太くて長い達巳のものを咥える。
信じられなかった。
忍が弘哉以外のものを口にすることができるなんて、思ってもみなかった。いくらゲイとはいえ、他人の、男の性器を咥えるなんて。
身体と心の奥、一番深い、弘哉という人間の芯の部分が、カッと熱くなった。かつて経験したことのない興奮。その扇動を構成している要素に嫉妬が混じっていることは否定できない。
責められる忍を見ながら責める。この構図にどうしようもなく滾っていた。
「そう、歯を立てないで。忍、いい子」
達巳が甘ったるい声をかけながら、忍の頬を撫でている。わずかに腰を動かし、仰向けで頭を動かせない忍の口腔に、長大な男を出し入れしている。
「んぐっ」
忍がえずいたような声を出し、なかがキュッと締まった。弘哉は思わず「うひょっ」と、間抜けな声を上げてしまった。