立ち読みコーナー
目次
258ページ
宮廷愛人        7
寵鳥恋夜        237
あとがき        254
131ページ~
「ひどい……」
濡れた目でフェレンツを睨みつけると、悪いことなどなにもないようにほほ笑んだ。
「どうして。わたしはきみが欲しい」
唇を噛んだ。
悔しいというより、苦しい。自分が歌以外に取柄などない、つまらない少年だということはわかっている。けれどまるで意思などない人形のように扱われる謂われはないはずだ。
「カナリヤなのに思いきり啼かせてあげられなくて可哀想だけれど。しっかり声を抑えておくんだよ」
「あ……」
くっ、と長い指を奥まで挿し込まれて、温かな手のひらが尻たぶに当たる。
身構える間もなく、陰茎のつけ根に近い腹の内側に、身を貫くような刺激が襲う。思わず腰が跳ねた。
「ひぅっ……、んん……っ!」
フェレンツの片手がミハイの口を覆う。
「静かにと言っているよ。わたしもきみの声を聞きたいけど、それはこの次に」
可愛くてたまらない子どもに言い聞かせでもするような口調で、ミハイのこめかみにキスを落とす。
「傷をつけたりはしないから。大丈夫、きみの体のどこをどうすればよくなるか、わたしはきみよりも知っている」
「ふっ……、ぅ……、んっ……」
フェレンツの指が、体の中の敏感な部分を撫でさする。
そうされると、ただでさえ力の入らない腿ががくがくと揺れた。寝椅子に沈んでしまいそうになる。
「んーーーっ、ん、う……、んんんっ……!」
小さな稲妻のような官能が腹の奥から逬り、目がちかちかと瞬く。
触れられている部分がふっくらと腫れ上がっているのがわかる。そこを間断なく責め立てられ、口を覆われた手の下でくぐもった叫びを上げ続けた。
息が苦しい。
初めての刺激に、もはや腰から下の感覚がない。
腿が震えて体を支えていられない。
助けて、助けて!こんな気持ちいいの、おかしくなってしまう─!
「手を離すから、ちゃんと声を我慢するんだよ」
「ふ、あ……」
やっと唇を解放され、寝椅子の縁に倒れ込む。
ミハイの口を覆っていた手は、今度はウエストにぐるりと回され、ミハイが倒れないよう支えられた。
深く息を吸い込んで、小さく咳き込んだ。
フェレンツに向かって腰を突き出すような格好になり、鏡に映る自分の上気した顔が間近に迫る。
フェレンツの指がゆっくりと引き抜かれ、また奥まで挿し込まれた。顎を突き上げ、目を閉じて快感を追う。
「く……、ん……」
徐々にリズミカルに、ときどきぐるりと孔を広げるように回し、指の先端で深い部分をこね、ミハイが焦れるタイミングを狙っては、先ほどの強烈な刺激を起こす膨らみを掠められた。
高波のように襲いかかる快楽に呑み込まれていく。
いつの間にか指を複数にされても気づかず、気づけば自分から指に合わせて腰を振り動かしていた。
「はぅ、あ、ああ、あああ、あ……、も、もぅ、や……、やめ……」
気持ちいい。
気持ちよくて気持ちよくて、意識が霞む。
やめて欲しいなどという言葉はただの惰性で、すっかり快楽に流されている。
大きな声を出してはいけないという意識だけがミハイを支配して、ひたすら声を潜めて快楽を追い求めた。