立ち読みコーナー
目次
250ページ
九尾狐家奥ノ記 ~御妃教育~   7
あとがき             243
107ページ~
「——俺がなんのために……!」
 ふいに肩を掴まれたかと思うと、畳の上に押し倒された。
「焔来……っ」
 焔来は八緒の強ばった身体にかまわず乱暴に帯を解き、着物をはだけた。布の破れる音が響く。
「や……」
 焔来がふれてくれないのが寂しかった。なのに、実際に手を伸ばされれば心が拒絶する。自分でもどうにもならなかった。
「やだ、さわ……っ」
 思わず押しのけようとした手をひとまとめに掴まれ、頭の上に固定された。
 唇を塞がれる。ひさしぶりのその感触に、けれども八緒は酔うことができなかった。無理矢理侵入してきた焔来の舌に、思わず歯を立てそうになる。
 それができなかったのは、焔来にはたとえどんなにわずかな傷であってもつけたくないと思う八緒の本能だ。
 ただ押し戻そうとする舌を搦めとられ、深く口づけられる。上顎の感じやすい部分をくすぐられれば、心では拒んでいるにもかかわらずぞくぞくした。
「んん……っ……」
 顎を掴まれ、首を振ることさえゆるされない。唇の端を唾液が伝った。それをようやく八緒の口内を蹂躙し尽くした焔来が舐め取る。
 焔来の唇はそのまま喉を痛いほど吸い上げた。一カ所だけではなく、埋め尽くすようにあちこちを吸い、鎖骨には歯を立てられた。
「い……っ」
 悲鳴をあげれば、そのあとを焔来は何度も舐めた。ちりっと痛みが走ったのは、皮膚が少し破れたのかもしれない。けれども焔来は、妖力でその傷を治癒してくれるつもりはないようだった。
 じわりと腰に熱が凝りはじめる。
 焔来のこの唇は、阿紫にも同じようにふれたのかもしれないのだ。それが嫌でたまらないのに、長いあいだ慣れ親しんだ身体を、八緒の肌はどうしても恋しがってしまう。
「焔来……焔来」
 八緒は首を振り、身を捩って逃れようとする。けれどもそれは無駄としか言いようがなかった。
「あ……ッ!」
 乳首を舐られ、八緒は声をあげた。ふれられる前から芯を持ちかけていたそこは、あっというまに硬く凝ってしまう。焔来は片方を舌で転がしながら、もう片方は指で緩く嬲りはじめた。
「あ……あ、や……っ、ああ……っ」
 声が抑えきれない。乳首から下腹まで、直接神経が繋がっているかのようだった。自らが硬く屹立していることが、見なくてもわかる。
「いや、やだ……ぁ……っ」
「うるさい」
 そう言って焔来は八緒の唇を再び塞いだ。どんなに淫らに声をあげても、こんなふうにうるさがられたことなどこれまであっただろうか。
「んん……っ」
 ようやく手を解放されたかと思うと、両乳首を強く抓られる。
「んん、あ、あ——っ」
 その瞬間、八緒は簡単に昇りつめていた。腰が自然と浮き上がり、びくんびくんと身体が引き攣る。