立ち読みコーナー
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うちの嫁がすごい ~だって竜神~    7
あとがき                271
「なあ、おれ、蒼波を食っちゃっていいかな」
 この可愛い生き物を全部自分のものにしたい。どこもかしこも舐め尽くして、しゃぶって、噛んでとろとろに融かしてやりたい。
 どんな顔で喘ぐのか、どんな声をあげるのか、どんなふうに乱れるのか、自分の五感すべてで蒼波を味わいたいという衝動がこみ上げる。
「食う……って、脩平さんはわたしを食べたいのですか?」
 一瞬不安そうな顔を見せたが、すぐにきゅっと唇を引き締めてなにか覚悟したように続けた。
「そうですか。わたしを食べても……人魚ではないので不老不死になれませんが……脩平さんになら……わたしでよければ脩平さんの贄となりましょう」
 そこまで聞いて、脩平はプッと噴き出した。相変わらずとんちんかんなことを言う蒼波がやけに可愛くてたまらない。
「違う違う。食べるの意味がさ。そうじゃなくて」
「そうじゃないとは……?」
 訝しげな顔をして蒼波は脩平をじっと見る。
 脩平はとびきり甘い顔をつくって、それから耳元で囁いた。
「あんたとまぐわいたい、ってこと。いい?」
「——!」
 ちょっとストレートすぎたか、と思ったが、これくらい直截的な言い方の方が蒼波にはいいのかもしれない。案の定、彼は顔を真っ赤にしていたが、脩平のシャツの裾を掴んで、こっくりと頷いた。
「好きだよ、蒼波。大好き」
 応えてくれた蒼波を脩平は強く抱きしめる。頬ずりをして、顔中にキスの雨を降らせた。
「おいしそうだ」
 ほんのり色づいた耳朶をやわらかく食む。きっとはじめての感触だったのだろう、蒼波は瞼をぎゅっと閉じた。
 蒼波の耳朶を甘噛みしながら、手は彼の着物の合わせへと向かう。耳の奥に舌をこじ入れると、「あ」と蒼波が小さく声をあげた。その声を聞いて脩平は目を細める。
 薄く開いた唇がひどくエロティックだと、脩平は思わず見とれてしまう。
「可愛い、蒼波」
 可愛い、そう言って、脩平は合わせの合間から手を差し入れ、蒼波の身体に手のひらを滑らせた。しっとりと吸いつくような肌の感触に脩平は陶然となる。いつまでも撫で回していたいと思うような、官能的な触り心地だ。
 脩平は胸へと手をすべらせる。やがて指先が彼の乳首に触れた。
 本来、卵生の竜にはほ乳類の証である乳首はないはずだ。しかし人の形を保っているせいか、こんなところまで人と同じ形状を模している。
「乳首あるんだ」
 脩平は蒼波の胸元を緩め、はだけさせた。
  露になった胸の薄紅の乳暈と小さな乳首が白い肌に映えてうつくしい。まるで滑らかな白磁器に絵つけされた桜の花びらのようだった。
 思わず脩平はごくりと生唾を飲んだ。
 これまで名だたる写真家が撮ったあらゆるうつくしいものを見てきたが、蒼波の素肌はなによりきれいでうつくしい。
「しゅ、脩平さんっ」
 蒼波は慌てて着物をかき合わせようとしたが、「ダメ。見せて」と脩平はそれを許さず、彼の両方の手首を掴んで頭の上でひとまとめにした。
「恥ずかしいの?」
「……脩平さんは、意地悪だったんですね」