立ち読みコーナー
目次
242ページ
天狗と神隠し   7
あとがき     235
「いいぞ。約束を守れるなら、俺の身体、お前の好きにさせてやる」
「……! 本当? 途中でいやがっても、やめられない。やめてあげられない」
「うん、うん」
 やめなくてもいい。
 水篶が二度頷くことでそう返すと、冬征は水篶に濃厚なキスをした。
 そして、挨拶をするように左右の乳首をひと吸いしてから、水篶の身体をうつ伏せにし、腰を持ち上げさせた。
 シーツに膝をついて、尻だけを突きだす恰好である。
 尻の孔に、冬征の肉棒を入れるのだとわかっている。
 天狗である水篶の尻の孔は、生きていくうえでなんの役割も果たしていなかった。乳首もそうだ。
 冬征に捧げることで初めて存在の意味を持ち、価値を宿す。
 それでも、緊張はしたし、羞恥も感じた。それを上まわる期待が、崩れそうになる膝をかろうじて支えている。
 背後に陣取った冬征は、強張っている尻朶を両手で揉みこんで柔らかくし、狭間に顔を埋めてきた。
「……あっ!」
 水篶はシーツに爪を立てた。
 キスされている。水篶の尻の孔に、冬征の唇が張りついている。
 小さな窄まりを、冬征は舌で舐めまわし、音をたてて吸いしゃぶった。肌が唾液で潤うと、尖らせた舌先をなかに潜りこませてくる。
「あぁっ、あっ、あ……っ」
 たまらず、水篶は喘いだ。
 内側をぐるりと舐められ、抉られた。肉襞はまるで、神経が剥きだしになっているようで、ねっとりした舌の愛撫に、尻が跳ね上がるほど感じてしまう。
 よほど気に入ったのか、冬征はしつこかった。
 水篶の尻を抱えこんで、舌を出し入れしたり、指を差し入れて感じるところを探ろうとしたり、夢中になって弄りまわしている。
「ん、あうっ」
 水篶は冬征のすることを、すべて受け止めた。
 薄いゴムのなかで陰茎が張りつめて、痛いくらいだった。直接触れられなくても、ここまで昂ることができるのかと、怖くなる。
 快感を受け止めきれず、前へ逃げていく身体を強引に引き戻された。
 乳首がシーツに擦れた瞬間、水篶は堪えきれずにのぼりつめた。
「あっ、あー……っ!」
 不意打ちの、予期しない絶頂に、自分でも驚いた。腰だけでなく、全身ががくんがくん揺れて止まらない。
「水篶、すごい……」
 尻から顔を離した冬征が、掠れた声で呟いた。
 恥ずかしかった。冬征よりも先に、それも尻を弄られただけで達してしまうなんて、堪え性がなさすぎる。
 避妊具で覆っているとはいえ、できるだけ精液は出したくなかったのに。
「う……、ううっ」
 射精を終え、余韻に浸るどころか、忸怩たる思いを抱えて喘ぐ水篶の尻に、ひたりと当てられたものがあった。
 冬征の肉棒だと、見なくてもわかった。唾液で濡れた窄まりが、ひとりでにちゅっと吸いついていく。
「入れるよ、水篶」
「うん……、んっ、くっ」
 水篶は力を抜いて、冬征を迎え入れようとした。
 口でしゃぶるのも一苦労する、大きな性器である。尻の孔に本当に入るのか、少し不安だった。
 冬征は慎重に腰を進めてきた。
 圧迫され、まわりの肉を巻きこみながら、先端が押しこまれる。冬征が流しこんだ唾液で濡れているのか、思った以上にすんなりと入っていく。
「……っ」
 シーツに顔を埋め、水篶は奥歯を噛んだ。
 半分ほど入っただけなのに、すでに気持ちがよかったのだ。広げられた肉襞が、剛直に絡みついていく。
「くっ」
 冬征が低く呻いた。
 両手で水篶の尻を摑み、ゆっくりと奥まで挿入してくる。
 あまりの深さに、眩暈がしそうだった。冬征に貫かれて、つながっている。体内に愛しい男のものを受け入れている。
 背筋がぞくぞくした。
「全部入ったけど、痛くない?」
「き、もち……いい……」
 感じ入った水篶の声に、なかに入っている冬征自身がさらに膨らんだ。
 馴染ませるように止まっていた肉棒が動き、奥をそっと突いてきた。ずるりと抜かれ、また戻ってくる。
 先端の括れが、肉襞のところどころで引っかかるのが、たまらない。
 擦られているところが、熱かった。感覚がどんどん鋭くなって、冬征の肉棒の形がわかってくる。
 少しずつスピードが上がり、ぱんっと音がするほど冬征が水篶の尻に腰を打ちつけてきたとき、水篶は二度目の絶頂を迎えた。
「ううっ……、く、んーっ!」
 駆け上るというより、押しだされたような感じがする絶頂だった。
「み、すず……っ、締めすぎ……!」
 冬征が焦った声で水篶に抗議したが、達している身体が途中で止まるわけもない。
 水篶は尻を振りたくり、引き絞った肉襞を激しく蠢かせて、冬征の剛直をきりきりと絞り上げた。
 冬征にも精液を出してほしかったのに、彼は我慢してしまった。動きを止めて、水篶が絶頂から下りてくるのを待っている。
 今からでも遅くないと締めつける媚肉の誘惑に、頑として屈してくれない。
「い、やぁ……! ひどい、欲しい……っ」