立ち読みコーナー
目次
298ページ
美獣がXX!       7
あとがき         294
(なにか、俺に怒ってる?)
 今晩の我妻からは、まるで最初のころのように冷ややかな気配を感じる。
 自分のことをおもちゃにして面白がるのはいつものことでも、最近はこちらのことを気遣うそぶりもあったのに。
「あの……俺がなにかしましたか?」
 四肢をついた姿勢からたずねたら、そっけない答えが返る。
「べつに」
「でも……」
「うっせえな。おまえは黙って喘いでろ」
 荒っぽく撥ねのけて、我妻が広末の尻の上にローションを注ぎかける。そうして、手のひらでぬるぬるを広げていくと、いきなり後孔に指を入れた。
「あっ」
 指を挿しこんでくるやいなや、それを前後に動かしてくる。指は一本だけだけれど、のっけから感じるところを狙ってそこを抉ってくるから、こらえかねて声がこぼれた。
「うっ、あっ、うぁあっ」
「気持ちいいか?」
「んっ、んっ……あう……っ」
「答えろよ」
 指を動かしつつ我妻が返事をうながす。さっきは黙って喘いでろと言ったのに、今度は相手に言葉を求める。自分勝手と憤慨してもしかたがなくて、広末は要求に従った。
「き、気持ち、いいです……」
「オレにされて、いいんだな?」
「は、はい……っ」
 言ったら、なぜかさきほどよりも抽挿がゆっくりになってきた。思わずほっと息を吐けば、無意識に固くしていた肩から力が抜けていく。すると、やわらかくなった身体が、強いられたものではない快感を拾いはじめた。
「あ……はっ……う、ん……っ」
「あの女、あれから来たか?」
 しばらく経ってから、背中に声が落ちてくる。意味が理解できなくて、首を後ろにひねったら、唇を捩じ曲げた男の顔が目に入った。
「あの……?」
「おまえに、なんか持ってきた女だよ」
 少し考え、この男が数日前に見ていた光景を思い出した。
「き、来ましたけど……あ、ぅっ」
「来たのかよ」
「で、でも……っ、お、お客さまと……してです、から……っ」
「とか言って、あの女、おまえの前でメスの顔をしてやがったぞ。いっぺんくらいは寝てやろうって腹じゃねえのか?」
 ぐりっと前立腺を抉られて、広末の背中が跳ねる。
 強い刺激に喘いだあとで、なんとか呼吸を整えてから、それはないと首を振った。
「お、俺は……あなたに淹れるコーヒーの、こと、だけで……んっ、自分の時間は、それだけ、だから……っ」