立ち読みコーナー
目次
226ページ
一途なラブリー ~もふもふしてください~    7
もふもふしてやりたい              205
あとがき                    224
91ページ~
 差し出された庸介の手、指先を思い出した直後、再びドクンと心臓が打ち震えて鼓動を速くする。
 満月が間近に迫っていたせいか、庸介の匂い……いつもより、強く感じた。
 全身を巡る血が、熱い。熱くて……熱くて、身体の内側から琥珀を焼き尽くそうとしているみたいだ。
「な……に? っふ……ぅ、ぁ……」
 全身を駆け巡った熱が、集中しているところ……足のあいだに無意識に手を伸ばして、吐息を零す。
 熱くて、暑くて。
 被っていた布団を蹴り除けたところで、人の姿になっていても尻尾が引っ込められていないことに気がついた。
 やはり、満月の影響が強烈なのだ。
 だから、獣じみた本能に突き動かされているのだと自分に言い訳をして、震える指を屹立に絡みつかせる。
 この欲求は、未知のものではない。
 でも、これまで琥珀が知っていたものとは明らかに違う。
 自分の手で、義務的に吐き出すために触れることはあっても……こんな焦燥感に突き動かされるのは、初めてだ。
「ぁ、ぁ……ヤダ。おれ……なん、で。ヨースケ……ッ」
 閉じた瞼の裏に庸介の指を思い描き、鼻腔によみがえった彼の匂いを感じながら何かに背を押されるように指先へ力を込めた。
 ぱさり、と。無意識に揺れる自分の尻尾の毛が、素肌を撫でるささやかな感触にまで、劣情を煽られる。
 この尻尾にも、ヨースケが……触れてくれたことがある。
 庸介の、大きな手……長い指。あの手が、頭や背中を撫でて……。
「っは! あ……ぁ……ぁ」
 解放は唐突で、限界まで高まっていた熱を放出すると同時に我に返る。
 琥珀は荒い息を繰り返しながら、自分の指を汚す白濁を呆然と見つめた。