立ち読みコーナー
目次
298ページ
夢見る快楽人形          7
あとがき             293
78ページ〜
「ああぁっ、…いい、いいっ、もっと、…あっあっ、もっとぉ…っ」
 男に突き上げられるたびに、快楽で体がとろけ、もっともっとしてほしくて、響は泣いてねだった。男の熱も、硬さも、形も、なにもかもが体に馴染む。絶妙な緩急、強弱をつける腰使いにも、こうしてほしかったのだと体が悦ぶ。響の腰を両手で掴んだ男は、軽々と響の下半身を持ち上げて、膝立ちで響を責めるのだ。深く突かれてもずり上がって逃げることはできず、グラインドさせた腰でねっとりと中を責められても、シーツを掴んでよがることしかできない。快楽の渦に叩きこまれたようだった。
 そのうち。
「ああ……、咲いてきた」
 男がほほえんだ。かすれた嬌声をあげる響の体に……、響が散々放ったものでぐしょぐしょに濡れた腹に、腿に、ふわっとカサブランカが、オリヅルランが、ゲッカビジンの花の画(え)が浮き上がったのだ。ふふ、と笑った男が己れの剛直で響の弱点を突きこする。響の悲鳴に合わせるように、首筋から胸へとかけて、またふわりと、さまざまな花の画が浮きでた。けれど響は自分の異変に気づかない。気が変になりそうなほどの快楽と、それなのに物足りない感じ。体の芯の飢えとでもいうようなものに苛まれて、響はただよがり泣いた。
「も、許して、許してっ……、出して、中に…っ、出してお願い、欲しいぃ…っ」
「いいとも。可愛い響、綺麗な花を咲かせてごらん」
「あっ、ヒッ、いいいぃ……っ」
 表情を変えずに男が響の中で放つ。その瞬間、意識が飛びそうになるほどの強烈な、それでいて極甘な快楽に全身を満たされた。
「あ……、あ、あ……」
 溶ける、と響は思った。体が、細胞の一つ一つまで快感でとろけていくのを感じた。理由もわからず、これが欲しかった……、そう思った。
「ん、ん……」
 あまりの悦楽で響は夢心地だ。その耳に、男の甘くて低い声が届いた。
「響、ごらん。これでもまだ、忘れたふりを続けるつもり?」
「ん……」
 眠りに落ちそうになっていた響は、男の声に引き戻され、重たいまぶたを開けた。そうして、目に入ってきた自分の体を見て呼吸を止めるほど驚愕した。
 花――。
 自分の全身に、色とりどりの無数の花が浮かび上がっていた。まるでアートのように、ボディペインティングで描いたように。目を見開く響に、男はゆっくりと体を離すと、うたうように囁いた。
「今日はすばらしく綺麗だ。わたしの花……」